親知らずを抜いた後、しばらく血がにじむことは珍しくありません。
しかし、「何時間たっても血の味がする」「ガーゼを外すとまた血が出る」と、不安になる方もいるでしょう。
抜歯後は翌日まで少量の血がにじむ場合がありますが、出血量が多い場合や、圧迫しても止まらない場合には注意が必要です。
本記事では、親知らずの抜歯後に血が止まらない原因や正常な出血との見分け方、自宅でできる止血方法、歯科医院を受診する目安について解説します。

目次
親知らずの抜歯後に血が止まらないのは大丈夫?

抜歯後にわずかな出血が見られること自体は、珍しいことではありません。
判断する際に重要なのは、「出血の量と勢い」です。
まずは、現在の状態が経過観察できる範囲なのか、相談が必要な段階なのかを見極めましょう。
唾液に少量の血が混じる程度なら経過観察できる場合があります
抜歯した部位には傷口が残るため、少量の血がにじむのは自然な経過です。
にじみ出た血は唾液と混ざるため、実際の出血量より多く見えることがあります。
血の味を感じるという理由だけで「止血できていない」と判断する必要はありません。
抜歯の翌日まで唾液がうっすらとピンク色を帯びる程度であれば、経過観察できる場合があります。
口の中に血がたまるほど出る場合は注意が必要です
以下のような状態は受診が推奨されるサインです。
- 鮮血が流れ続ける
- ガーゼが短時間で赤く染まる
- 口の中に血がたまる
- 大きな血の塊が繰り返しできる
特に、ガーゼを外した直後に口腔内が血液で満たされるようであれば、抜歯を受けた歯科医院へ連絡してください。
親知らずの抜歯後に血が止まらない主な原因

出血が長引く背景には、止血方法や抜歯後の過ごし方に理由があるケースが多く見られます。
ただし、服薬状況や全身の状態が関与している場合もあります。
まずは、以下の項目に思い当たるものがないかを確認しましょう。
ガーゼで十分に圧迫できていない
原因の一つとして、圧迫する位置や時間が適切でないケースがあります。
傷口ではなく歯全体を噛んでいる、ガーゼが小さすぎて抜歯部位を十分に圧迫できていない、位置がずれている、といった状態では、十分な止血効果が得られない場合があります。
また、血が止まっているかどうかを確認する際にガーゼを外すため、頻繁に確認すると、固まりかけた血を剥がす原因になります。
強いうがいを繰り返している
抜歯後の傷口には、血が固まった「血餅」が形成されます。血餅は傷口を覆い、その後の治癒を助ける重要な血の塊です。強いうがいを繰り返すと血餅が流れ落ち、再出血を招きます。さらに、血餅が失われると治癒が遅れたり、痛みが生じたりする可能性があるため、抜歯当日の強いうがいは避けてください。
抜歯した部分を舌や指で触っている
違和感があると、舌先や指で傷口を確認したくなる場合があります。
しかし、その刺激が血餅を剥がし、再び出血を招く原因になります。
指で触れる行為は細菌を持ち込むことにもつながり、感染のリスクを高めます。
傷口が気になっても、舌や指で触れないようにしてください。
飲酒・運動・長時間の入浴をした
血流が促される行動は、いったん落ち着いた出血が再び起こる原因になることがあります。
飲酒や激しい運動、長時間の入浴やサウナなど、いずれも血管を広げて血流を促す要因です。
抜歯当日の入浴は短時間のシャワー程度にとどめ、安静に過ごしてください。
再開の時期については、抜歯を受けた歯科医院の指示に従いましょう。
血液を固まりにくくする薬を服用している
抗血小板薬や抗凝固薬など、血液を固まりにくくする薬を服用している場合、止血に時間を要することがあります。
ここで重要なのは、自己判断で服薬を中止しないことです。
これらの薬は血栓による疾患などを予防・治療する目的で処方されているため、自己判断で中止すると健康上のリスクが生じる可能性があります。
服用中の薬は、抜歯前に必ず歯科医師へお伝えください。
全身疾患などによって血が止まりにくくなっている
血液疾患や肝疾患、血小板の減少などがある場合、止血機能そのものが低下している可能性があります。
高血圧などの循環器疾患がある場合も、抜歯時には注意が必要です。持病がある方は、抜歯前の問診で正確に申告しておくことが欠かせません。
出血が続くときは自己判断を避け、医療機関へご相談ください。
関連記事:親知らず抜歯の痛みはいつまで?抜くとき・抜歯後の痛みと和らげる方法を解説
親知らずの血が止まらないときに自宅でできる対処法

出血が気になるときに最優先で行うべきは、正しい圧迫止血です。
手順は以下の3段階に分けられます。
- 清潔なガーゼを抜歯した部分に当てる
- ガーゼを15~30分程度しっかり噛む
- 出血量が減ったか確認する
慌てて何度も確認するのではなく、一定時間しっかり圧迫することが、早期の止血につながります。
STEP1|清潔なガーゼを抜歯した部分に当てる
まず、清潔なガーゼなどを用意します。
重要なのは、抜歯した穴そのものを押さえられる位置に置くことです。
ガーゼが小さすぎると、抜歯部位を十分に圧迫できない場合があります。
折りたたんで適度な厚みを持たせ、抜歯部位に確実に当ててください。
なお、傷口へ無理に押し込む必要はありません。
STEP2|ガーゼを15〜30分程度しっかり噛む
ガーゼを当てたら、力を抜かずに継続して噛み続けます。
目安は15〜30分程度です。ここで大切なのは「血を吸い取る」ことではなく「傷口を圧迫する」ことにあります。
途中で何度もガーゼを外すと、十分な圧迫ができず、止血を妨げる可能性があります。
圧迫時間の目安には医療機関ごとに幅があるため、抜歯を受けた歯科医院から指示がある場合は、その時間に従ってください。
STEP3|出血量が減ったか確認する
指定した時間が経過したら、出血量を確認します。
明らかに減っていれば、新しいガーゼで再度圧迫するか、そのまま安静に過ごしましょう。
判断の目安は、以下の表を参考にしてください。
| 状態 | 目安 |
| 唾液が薄いピンク色 | 経過観察できる場合が多い |
| 少量の血がにじむ | 圧迫止血をして様子を見る |
| 鮮血が流れ続ける | 歯科医院へ相談 |
| 口の中に血がたまる | 早めに歯科医院へ相談 |
| 圧迫しても出血量が減らない | 歯科医院へ相談 |
※症状や全身状態によって判断は異なります。不安がある場合は自己判断せず、抜歯を受けた歯科医院へご連絡ください。
関連記事:親知らずで腫れない人の特徴7選|抜歯後の腫れを左右する要因と対策
親知らずの抜歯後に血が止まらないときのNG行動

止血を妨げる行動を避けることも重要です。
以下の5つは、抜歯当日は特に控えてください。
- 何度も強いうがいをする
- 傷口を舌や指で触る
- 飲酒する
- 激しい運動をする
- 長時間入浴する
一つずつ解説します。
何度も強いうがいをする
血の味が気になっても、強くうがいを繰り返す行為は避けてください。
血餅が流され、再出血や治癒の遅れを招きます。
口をすすぐ場合は、水を含んで静かに出す程度にしましょう。
傷口を舌や指で触る
舌先で抜歯部位をなぞる、指で確かめるといった行動は、血餅が剥がれる原因になる可能性があります。
細菌が入り込み、感染につながる恐れもあります。
違和感があっても触れずに過ごしてください。
飲酒する
アルコールには血管を広げ、血流を促す作用があります。
止まっていた出血が再開する恐れがあるため、抜歯当日の飲酒は避けましょう。
処方されている薬によってはアルコールとの併用に注意が必要な場合もあるため、歯科医師や薬剤師の指示に従ってください。
激しい運動をする
運動によって心拍数と血圧が上がると、傷口から出血しやすくなります。
抜歯当日は安静を心がけ、スポーツや力仕事は控えてください。
運動を再開する時期は、抜歯の状態に応じて歯科医師の指示に従ってください。
長時間入浴する
湯船に長くつかると全身の血流が高まり、再出血の一因となります。
抜歯当日は長時間の入浴を避け、シャワー程度にとどめるのが一般的です。
サウナや岩盤浴も、同様の理由から控えてください。
親知らずの抜歯後、血が止まらないときに受診すべき目安

自宅での圧迫止血には限界があります。
以下のいずれかに当てはまる場合は、様子を見続けずに、抜歯を受けた歯科医院へ連絡してください。
- 圧迫止血後も出血が続く
- 口の中に血がたまり続ける
- 大きな血の塊が繰り返しできる
- めまいやふらつきなど全身の異変がある
夜間や休日の場合は、地域の休日夜間診療体制もあわせて確認しておきましょう。
圧迫止血後も出血が続く
ガーゼを噛んでも出血量が減らない場合、自宅での対処では止血が難しい状態と考えられます。
通常は時間の経過とともに出血が減っていきますが、その傾向が見られないときは処置が必要になります。
何時間も自宅で様子を見続けず、早めにご連絡ください。
口の中に血がたまり続ける
ガーゼを外した直後から口の中が血液で満たされるような場合は、歯科医院への連絡が必要な目安となります。
血液を飲み込み続けると、気分不良や嘔吐につながる場合もあります。
ガーゼによる圧迫を続けながら、抜歯を受けた歯科医院へ連絡し、指示を仰いでください。
大きな血の塊が繰り返しできる
口の中に団子状の大きな血の塊が何度もできる場合、大きな血の塊が繰り返しできる場合は、出血が続いている可能性があります。塊を自分で無理に取り除こうとすると、かえって出血が悪化しかねません。この状態が繰り返されるときは、診察を受けてください。
めまいやふらつきなど全身の異変がある
出血量が多く、顔色が悪い、気分が悪い、めまいやふらつきなどの全身症状を伴う場合は、速やかな対応が必要です。
歯科医院への連絡と並行して、状態によっては救急外来の受診も検討する必要があります。
無理に自力で移動せず、周囲の方に付き添いを依頼しましょう。
関連記事:親知らずを抜かない選択はあり?放置リスクと残せる条件を解説
親知らずの抜歯後に血を止まりやすくするための過ごし方

出血が落ち着いた後は、再出血や血餅の脱落を防ぐ過ごし方が重要になります。
抜歯当日から数日間は、傷口を刺激しないように過ごすことが大切です。
抜歯当日はできるだけ安静にする
抜歯当日は予定を詰め込まず、体を休めることを優先してください。
出血や腫れが気になる場合は、就寝時に枕をやや高くして休む方法があります。
抜歯後の過ごし方については、歯科医院から受けた指示を優先してください。
食事では傷口を刺激しない
麻酔による口腔内の感覚が戻るまでは食事を控え、感覚が戻った後は抜歯部位を避けて噛むようにします。
抜歯当日は、傷口への刺激になりやすい熱い食べ物や香辛料の強い食べ物は避けましょう。
また、強く吸う動作は血餅に影響を与える可能性があるため、ストローの使用についても抜歯を受けた歯科医院の指示に従ってください。
関連記事:親知らず抜歯後の食事はいつからOK?安全な食べ方と注意点を解説
歯磨きは抜歯した部分を避けて行う
口腔内を清潔に保つことは、感染予防に欠かせません。
ただし、抜歯部位に歯ブラシを直接当てると血餅を傷つけます。
抜歯した部分を避けたうえで、他の歯は普段どおり丁寧に磨きましょう。
洗口液を使用する場合は、使用開始時期や方法について歯科医院の指示に従ってください。
処方された薬は歯科医師の指示に従って服用する
抗菌薬や鎮痛薬が処方された場合は、指示された用法・用量を守って服用しましょう。
特に抗菌薬は、自己判断で服用方法を変更せず、歯科医師から指示された用法・用量・服用期間を守ってください。
痛みが強い、薬が効かないと感じる場合は、量を増やさず歯科医院へご相談ください。
親知らずの抜歯後の出血についてよくある質問

ここでは、抜歯後の出血に関して寄せられることの多い疑問を整理します。
抜歯後の状態を判断する際の参考にしてください。
親知らずを抜いた後の血は何時間で止まりますか?
一律に「何時間で止まる」と断定することはできません。
抜歯の難易度や傷口の大きさ、体質によって経過は異なります。
多くの場合、圧迫止血によって出血量は徐々に減っていきますが、経過には個人差があります。
翌日まで少量の血が混じるケースもあります。
親知らずを抜いた翌日も血が出ているのは大丈夫ですか?
判断のポイントは、血液の量と勢いにあります。
鮮血が流れ続ける、口の中に血がたまるといった状態であれば、翌日であっても抜歯を受けた歯科医院へご相談ください。
寝ている間に血が出ても大丈夫ですか?
抜歯後は少量の出血がにじむことがあるため、起床時に血の味を感じる場合があります。
少量のにじみであれば経過観察できる場合がありますが、出血量が多い場合や圧迫しても止まらない場合は、抜歯を受けた歯科医院へ相談してください。
ガーゼを噛んでも血が止まらない場合はどうすればよいですか?
まず、ガーゼが抜歯した穴を正しく押さえられているかを確認してください。
位置を直したうえで15〜30分程度しっかり噛み、それでも改善しない場合は抜歯を受けた歯科医院へ連絡しましょう。
止血にはティッシュペーパーではなく、清潔なガーゼが適しています。
血の塊は取った方がよいですか?
原則として、自分で触ったり取り除いたりしないでください。
傷口を覆う血餅は治癒過程で重要な役割を担っており、失われるとドライソケットと呼ばれる強い痛みを伴う状態につながる可能性があります。
大きな塊が繰り返しできる場合は、自己処置ではなく歯科医院で対応を受けてください。
まとめ:親知らずの血が止まらないときは正しく圧迫止血し、続く場合は歯科医院へ相談しよう
親知らずの抜歯後、翌日まで少量の血がにじむことはあります。
まずは慌てず、清潔なガーゼで正しく圧迫止血を行ってください。
圧迫止血をしても出血が減らない場合や、口の中に血がたまり続ける場合は、自宅で様子を見続けるべき状態ではありません。
抜歯を行った歯科医院へ連絡しましょう。
ハミール東京デンタルオフィス小川町では、歯科口腔外科で親知らずの抜歯を行っています。抜歯を検討されている方は、当院へお気軽にご相談ください。
